代表取締役 牛島 晴久

みんなバネを持ってるんだ!
どん底に落ちるような失敗経験から大きく学んだこと…

代表取締役 牛島 晴久

社員を守るために。真っ先に頭に浮かんだのは、会社の売却です。

2015年の後半の話ですが、実はある社員の退職をきっかけに芋づる式にほかの社員が大量に退職してしまうという事態が起こりました。当社のようなシステム開発の会社にとって、エンジニアは資産そのもの。それが一気にいなくなってしまい、売上も急下降してしまいました。私にとっては青天の霹靂というか、本当にまさかの事態でしたので、ことが発覚した時にはリアルに震えましたね。

下がっていく経営数字と直面してまず頭に浮かんだのは、社員をどうやって守るかということ。銀行やその他いろんなところに相談したり、役員同士で話し合いをする中で、会社の売却という案も自然と出てきました。設立丸5年が経過したばかりでしたが、無くなる時はこんなにあっけないものなのかと、ふと思ったりもしましたね。

「何言ってるんですか!?馬鹿言わないで下さい!」と部下に怒鳴られたのが一番ききました。

「やはり会社を売却するしかないんじゃないか」経営会議の中でそう話すと、ひとりの部長が激怒しましてね。言われたのが上のセリフです。総務部長なんで、当然会社の経営数字を見ているわけで。彼女的には盛り返す可能性が十分あるにも関わらず、私が弱気になっているのに腹が立ったんでしょうね。

「社員を守るためとか言ってるけど、ほんとは自分が楽になりたいだけなんじゃないですか?!」

これが一番ききました。そんなつもりはもちろんなかったですけど、心のどこかでそう思ってる自分がいたかもしれない。と同時に、まだやれることがあるんなら、やらないといけないと思い直しました。この一喝があって、目を覚まさせてもらったんです。

理解のある社長を演じていただけで、本当はちゃんと向き合うのを逃げていたのかもしれない。

現在みんなの努力で会社は売り上げを立て直すことができ、最近になってようやく危機を脱することができました。そういった経験をして改めて思うのは、自分は理解のある社長を演じていただけで、本当はちゃんと向き合うのを逃げていたのかなと。

「やりたいことはどんどん言って来てほしい」「みんなが生き生きと働ける会社を、みんなで一緒につくっていこうよ」そんな聞こえのいいことをよく言っていましたが、ニコニコしながら話を聞いていただけで、真剣に応えてあげられたものがどれほどあっただろうか。今回の社員の大量退職の件でも、きっかけとなった人物ととことんぶつかりあって、腹の底から分かりあえる間柄になっていれば、違った結果になっていたのではないか。つまり今回のことは、私自身の勇気のなさが招いた事態だったのかなと、今は思うんです。

なにもかも自分でやる社長から、なにもかも人任せな社長になることにしました。

たぶんどこかで、自分に慢心していたんだと思います。会社を興したのも自分。売上を立ててきたのも自分。だから自分が動けば大抵の事はどうにかできるのだと。でも社員数が50名を超え、自分一人の力で会社を下支えすることなんて、できるわけがないんです。この件では、そのことを痛切に学びました。そこでまずは、組織の在り方を大きく変えることから着手しました。

たとえば今までは、取締役に経営を取り締まってもらっていませんでした。どちらかというと技術顧問的な感じになっていたと思います。でも今では、経営数字を見てもらい、意見を求めるようにしています。ほかにも、営業は営業に。人事は人事に。総務は総務に。現場は現場に。みんなが責任を持つ組織へと、少しずつ変えていっている最中です。

今まではなにもかも自分でやろうとしていた。でも今では、なにもかも人任せになってきた。でも、それでいいんでしょうね。

みんながたくさん失敗出来る環境を作りたい!

そんなわけで、今のユースリーは、自分のやりたいことに対して、自分自身で責任を持ってもらうようにしています。新しいことをやってみたいなら、それが実を結ぶように一生懸命努力してほしい。場や機会はたくさん用意するので、精いっぱいやるという責任を果たしてほしい。ただし、失敗してはいけないという意味ではありません。初めてやることに失敗はつきもの。失敗したら、なぜそうなったかを検証して、自分の糧にしてくれればいいんです。失敗をもとに成長にできる事は、私が誰よりも実感しています(笑)お話した出来事は私の大きな失敗経験ですが、同時に考え方を大きく変える起点ともなりましたから。

失敗できる環境は会社で用意します!!失敗を恐れずに精いっぱい取り組む、そして失敗しても立ち上がる!!私を筆頭に、そうやって仕事に取り組める仲間と一緒に会社を大きくしていきたい。そう強く思っています。